工具と加工方法

◆高周波用ミリングカッタ

高周波領域では、でき上がったパターンの形状は、立ち上がり90°の矩形のパターンが要求されるので、
工具の先端が切り株(stub)状の高周波ミリングカッタでミリングする必要があります。
100ミクロン以下のカッタの先端は人の髪の毛ほどの細さですから、従来のV字状のカッタとは違う
加工上のノウハウが要求されます。

◆高精度で100ミクロンの加工を行うには

高周波回路では、例えばCoplaner waveguideの加工の際には 100ミクロン±5ミクロンの精度で溝幅を
ミリングすることが要求されます。
そのためには、工具の公差とスピンドルモータの芯ぶれを考慮に入れた加工方法が 求められます。

工具の公差
工具メーカーから提供される工具には公差がありますので、公差分を考慮して加工する 必要があります。

スピンドルモータの芯ぶれ
加工機のスピンドルモータには多少の芯ぶれがあります。
芯ぶれはモータの回転数によっても変わりますし、モータにコレットを取り付ける際の コレットの締め付け具合によっても微妙に変わってきます。 この微妙な変化によって、100ミクロン以下の加工では、工具の径より太く溝幅が加工 されます。

具体例:100ミクロンの工具径の公差が±5ミクロン
スピンドルモータの芯ぶれが10ミクロンの場合

加工できる溝幅は最小でも105ミクロン、最大で115ミクロンになりますので100ミクロンの溝幅を加工する
ためには次のように行います。

  • 工具の公差+スピンドルモータの芯ぶれを考慮し、80〜90ミクロンの 工具を使用する。
  • 80ミクロン以下の工具を使用し、100ミクロンの溝ができるように加工経路の両壁を2度加工する。

>>動画による説明

*ミリングカッタは極めて細く折れやすいので、ステッピング加工を行います。