FP-21T Precision 導入事例

コンピューターを利用したプリント基板の設計とモデリング および
MITS FP-21T Precisionによる基板製作

Professor Dr. Antonije Djordjevic
University of Belgrade
School of Electrical Engineering
Serbia
E-mail:edjordja@etf.rs

MITS FP-21T Precisionは柔軟両方の素材に高い精度でマイクロウェーブ回路を切削加工することが
可能である。このプリント基板加工機は50µmの高精度の切削ができるので、ミリメーター波の領域でも
作動する回路の作成に便利である。

ベルグラード大学の電子工学部において我々は、切削加工機で作成するマイクロウェーブ用プリント基板の
モデリングおよび設計に関し、ある特定の研究を続けてきた。
ここでは切削加工された伝送ラインの断面の形状と、製造の際の最適化の2点を検討する。

切削加工機によって加工されたラインの形状は、使用された工具によって垂直・傾斜両方のエッジが
得られる(図1)。切削工具は銅箔を削り取るだけでなく、わずかではあるが基板も削り込み、溝状の表面を
残す。

マイクロウェーブ回路の性能は、伝導体の形状と誘電率に影響される。
例えばマイクロストリップ・ラインの特性インピーダンスと波動伝播速度は、溝加工された線の
近くに誘電体があると増加する。

回路の特性を正確に予測するために我々は、切削加工された伝送ライン用に参照[1]の方法を用いた
準静的モデルを開発したが、研究ではMITS FP-21T Precision で作成したプリント基板の
測定値を比較対照とする。

コンピューターを利用したプリント基板の設計とモデリング および                      MITS FP-21T Precisionによる基板製作
コンピューターを利用したプリント基板の設計とモデリング および                      MITS FP-21T Precisionによる基板製作

図1. プリント基板の典型的な切削断面

一般に回路特性の劣化を防ぐには、マイクロウェーブ用のマイクロストリップ回路の周りの
使用されていない大面積の銅箔を剥ぎ取り加工することが必要である。
広い銅面とアース面が、マイクロウェーブ回路の結合により共振回路を構成し、散乱特性の
異常や強い放射をもたらす可能性があるのだ。

他方、大面積の銅箔を剥ぎ取り加工するためには長時間かかり、工具も磨耗してしまう。

我々は WIPL-D ソフトウェア[2][3]を用い、マイクロストリップ回路の近くにある大面積の銅面(図2)を
シミュレートするコンピュータ・モデルを開発した。
これは上記のような寄生共振をマイクロウェーブ回路の運用周波数帯域から十分安全に離れた
高い領域まで 押し上げるため、広い面積の銅箔面にスロットを設計する目的で使われている。
この方法により、マイクロストリップ回路の近くの銅面は数本の溝を切削加工するだけで非活性化され、
回路の性能に意図しない影響を与える可能性を最小に抑えられる。

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図2. マイクロストリップ・ラインおよび非活性化された周辺の銅面(平面図)

References

  • A.R.Djordjevic, M.B. Bazdar, R.F. Harrington,T.K. Sarkar, LINPAR for Windows:
    Matrix Parameters for Multiconductor Transmission Lines,Version 2.0, Software and User's Manual
    , Artech House, Norwood, 1999.
  • B.M. Kolundzija, J.S. Ognjanovic, T.K. Sarkar, D.S.Sumic, M.M. Paramentic, B.B. Janic,D.I. Olcan, D.V. Tosic, M.S. Tasic,WIPL-D Microwave Software and User's Manual,WIPL D/Artech House, Belgrade/Norwood, 2005.
  • WIPL-D Pro v6.4, "Software and User's Manual," WIPL-D d.o.o., Belgrade, 2008.
    www.wipl-d.com

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